翻訳出版の責任を問う! トロツキー翻訳受難物語
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自然科学分野でははるかに厳格です
投稿者:
中島章利
投稿日:2008年 9月18日(木)08時31分9秒
文学や社会科学、あるいは翻訳の領域においては盗作・盗用の認定が「甘い」ようですが、自然科学分野では大変厳格です。
2006年、講談社ブルーバックスに収められていた
大江秀房氏の著書『科学史から消された女性たち』、『早すぎた発見、忘れられし論文』
の2点が発行・発売元である講談社から絶版・回収処分となっています。講談社BOOK倶楽部というサイトで「ブルーバックス『科学史から消された女性たち』、『早すぎた発見、忘れられし論文』について 緊急のお知らせ」と題して、次のように告知されています。
二〇〇六年三月八日付で回収・絶版の措置をとった講談社ブルーバックス『科学史から消された女性たち』『早すぎた発見、忘られし論文』(いずれも大江秀房著)につきまして、調査の結果、最終的に内外の著作物に対する著作権上の問題を確認いたしました。著作権者の方、読者の皆様にお詫び申し上げます。なお、図書館等で継続して閲覧に供されているものに関しましては、その旨御了解ください。出版部としても真摯に反省し、このようなことが二度とないよう精進してまいります
講談社ブルーバックス出版部
下記のサイトで見ることが出来ます。
http://shop.kodansha.jp/bc/books/bluebacks/oshirase.html
『科学史から消された女性たち』については、工作社から刊行された
ロンダ・シービンガー著、小川眞里子+藤岡伸子+家田貴子=訳の『科学史から消された女性たち』
を邦訳題名も、内容も盗用していたというものでした。
この顛末は当事者の一人である
川島慶子女史(名古屋工業大学)が「消されたのは誰か? ブルーバックス『科学史から消された女性たち』絶版・回収事件に見る現代日本」
で詳細に述べられておられます。一見に値します。
http://www.kousakusha.co.jp/ISSUE/kesareta.html
自然科学と社会科学、分野は異なりますが問題の本質は同じであるといえましょう。
同様の問題を提起・述べている著作として
ウィリアム・ブロード、ニコラスウェイド著『背信の科学者たち』(化学同人1988年。講談社ブルーバックス2006年にて再出版)や山崎茂明著『科学者の不正行為―捏造・偽造・盗用―』(丸善2002年)
等が有意義です。
これらを読むと自然科学分野ではその基準も、処分も非常に厳格であり、捏造・偽造・盗用を防ぐための国際機関さえも設置されていることが分かります。
かつて朝日新聞は見識を発揮していました
投稿者:
中島章利
投稿日:2008年 9月16日(火)14時43分56秒
編集済
栗原裕一郎氏の著書
『<盗作>の文学史』
(新曜社2008年6月刊)に次のような叙述が見られます。
5 ジャン・ジュネ全集の訳文に盗用
1968年に新潮社から発売された『ジャン・ジュネ全集』第4巻所収の戯曲「囚人た
ち」の訳文に、発売後すぐに盗用が見つかり『朝日新聞』に報道された。
「囚人たち」の翻訳は演出家の水田晴康が担当していたが、翻訳家の一羽昌子か
ら、一羽が1953年に雑誌『同時代』に発表した同戯曲の訳文(「死刑囚の監視」)をも
とにしているという抗議が新潮社に行ったことで発覚した。
「水田さんの訳は、私の翻訳を盗用したというだけでなく、随所に改変を加えてい
るので、原文からも遠ざかったものになっており、私としても耐えがたい気がしまし
た」(一羽)
水田も「これはわたしが著作権に無知なためで、申し訳ないことをした」と認めた
ため、第2刷以降、水田の訳は削られ、一羽訳に差し替えられた。
主な資料
「こんどは翻訳盗用」『朝日新聞』1968年4月1日付け朝刊
出典: 栗原裕一郎『<盗作>の文学史』P420-421、新曜社2008年6月刊。
朝日新聞はかつてこのような見識を示していたわけです。私たちが現在、問題にしている光文社古典新訳文庫の森田成也訳『永続革命論』、『レーニン』にも大きな問題を投げかけるものでしょう。
また、光文社は感想文コンクール2008をキャンペーン中で朝日新聞がその後援をしていますが、さまざまな問題点、疑問点が指摘されている亀山訳『カラマーゾフの兄弟』や野崎訳『赤と黒』のあり方に対して同社はどのような見識を示すのでしょうか?
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製造者・販売者責任を全うすべきです
投稿者:
中島章利
投稿日:2008年 8月30日(土)11時18分33秒
光文社古典新訳文庫で生じているさまざまな問題を議論するための場として「光文社古典新訳文庫についてのフォーラム」というサイトを立ち上げました。ぜひアクセスし、自由に議論していただければと思います。アドレスはこちら。
http://8913.teacup.com/naknaktono/bbs?BD=7&CH=5
さて本題。
亀山訳ドストエーフスキーの誤訳について、木下先生はこう書いておられます。(強調は中島)
「第1分冊全422頁に限っても、私達が指摘した誤訳117個所のうちわずか45個所が、3月15日の22刷までの段階で
こっそり訂正されている
に過ぎず、なおあとの分冊は手付かずのまま残されている。第2分冊以降の分を含めるならば、さらに何百という誤訳が想定される。」
「これまでの読者のためにも
正誤表を公表する義務がある
のではないか」
後者は至極もっともな意見だと思われます。
私はもう一歩踏み込んで意見と提案を述べます。
提案;「光文社は初版から21刷までを購入した読者に対し、希望者に対して無償で22刷以降の訂正本と交換すべきです。」
或る自動車メーカーは不具合があった車に対して無償で整備・部品交換等の措置を講じました。また或る電器メーカーは20数年前に製造したFF式温風ファンヒーターによる事故の惧れありとしてつい最近までマスメディアを通じて製品の無償回収・交換をする旨を呼びかけていました。
これらの措置自体は製造者として当然の責任を全うするものといえましょう。
ひるがえって出版業界ではいかに? 誤訳は製品の欠陥にあたらないのでしょうか? 私はあたると考えます。原作を正しく伝えないのですから。
膨大な誤訳がある亀山訳はそのごくわずかしか訂正していないし、しかもこっそりとしか行なっていないと木下先生は指摘されています。
これは出版企業としての責任放棄ですし、先に購入した読者に対して22刷以降の訂正本購入を強いるのでしょうか? これでは読者=消費者をないがしろにするものといわれても仕方のないものでしょう。
まして光文社は「感想文コンクール2008」を実施中です。その対象となるものに当の亀山訳『カラマーゾフの兄弟』が入っているのです。
22刷より前の誤訳本にもとづいて感想文を書くはめになる読者は一体どうなるのでしょうか?
命に関わるものではないから…などというのは詭弁です。精神的生産物はある面では物的生産物よりも長期間に渡り、しかも深い影響を与えるものです。人生をすら決定することもあるのです。とくにドストエーフスキーのような作家はなおさらのことです。
したがって少なくとも物的生産物と同等水準の製造者責任が認められるべきではないかと考えます。そしてさらに法律的議論よりも前に道義的責任があると考えます。
光文社が出版社としての良識を持つならば、直ちに22刷以降の訂正本を大増刷し、21刷以前の誤訳本と直ちに無償で交換すべきではないでしょうか?
それが出来ないというのであれば、なぜ出来ないのか全国民の目に触れるようにその理由を明らかにした上で、―何しろ100万部を販売したというのですから―
古典新訳文庫が配本されているすべての書店に冊子化した正誤表を配送し、「ご自由にお持ちください」の表示をして、誰もが無償で自由にもっていくことが出来るようにすべきではないでしょうか。
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誤植訂正
投稿者:
藤井一行
投稿日:2008年 8月 7日(木)13時03分51秒
本文中のロシア語部分に誤植があることがわかりました。
正しくは、つぎのとおりです。
<この原文はКостина мама. Костина(コースチナ)は、Костинという所有形容詞の女性形で、Костя (コースチャ)という人名を形容詞化したものである。>
盗訳研究1
投稿者:
藤井一行
投稿日:2008年 8月 7日(木)11時40分57秒
編集済
本文は当サイトに発表ずみです。ご一読ください。
当サイトへの来訪者が増えているようですが、できたらこのゲストブックにご投稿いただけると幸いです。
森岡正博氏が光文社古典新訳文庫のミルの翻訳について次のように書いています。
http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/
盗訳研究
投稿者:
藤井一行
投稿日:2008年 7月 9日(水)18時06分0秒
編集済
小学館が、ダイヤモンド社刊行の翻訳書『西洋事物起源』(ベックマン)を無断で抄訳して、『モノここに始まる』と題して刊行したところ、前記『西洋事物起源』を岩波文庫から刊行する準備をしていた翻訳者グループに<盗訳>と抗議され、著作権侵害を認め、ダイヤモンド社と翻訳者に謝罪し、抄訳書を回収するという事件がありました。
関係者の次のサイトをご覧ください。
<海賊版の発行>
http://t4tomita.lolipop.jp/jb/piratej.html
奇しくも岩波文庫の拙訳の『ロシア革命史』や森田訳の『わが生涯』の翻訳・刊行の準備が進んでいた時期でした。
その<盗訳>とはいかなるものであったかを、いま分析中です。近く発表するつもりです。
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『星の王子さま』問題
投稿者:
藤井一行
投稿日:2008年 7月 5日(土)14時52分45秒
光文社古典新訳文庫の『ちいさな王子』も野崎氏の訳ですが、こちらは問題がないのでしょうか? 加藤晴久氏は内藤訳は全面的に吟味していますが、野崎訳を正面からとりあげているわけではありません。加藤先生や下川先生のご意見を伺いたいものです。
光文社古典新訳文庫が引き起こす波紋
投稿者:
中島章利
投稿日:2008年 7月 5日(土)13時14分5秒
編集済
光文社古典新訳文庫がさまざまな波紋を引き起こしています。
分かっているだけでも亀山訳、ドストエーフスキー『カラマーゾフの兄弟』、野崎訳、スタンダール『赤と黒』、そして私たちが問題にしている森田訳、トロツキー『レーニン』、『永続革命論』
まだまだ出てきそうな予感があります。
インターネットで見かけた記事、ブログなどをご紹介します。
1.「会社員のフランス語とロシア語学習」
http://langue.seesaa.net/article/99965696.html
光文社古典新訳文庫『赤と黒』に言及し、光文社の姿勢を問題にしています。
2.木下和郎氏「連絡船」
http://d.hatena.ne.jp/kinoshitakazuo/20080619
同じく『赤と黒』に克明に言及しています。また、亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』の訳のあり方にも鋭く言及。光文社駒井編集長の姿勢もきびしく問題にしています。
3.「松浦淳のブログ」
http://plaza.rakuten.co.jp/atsushimatsuura/diary/200806080004
スタンダール『赤と黒」に言及。駒井編集長を批判しています。
Amazonのコメントも紹介されています。
ほんのごく一部。ここに紹介していませんが、カント、フロイトの訳についての評も見受けます。
まだまだ未知の書込みや感想、意見などが出されていると思われます。
ぜひ、いろいろな情報を当サイトへの書込みでお寄せください。
ゲストブック新装開設
投稿者:
HP運営者・藤井一行
投稿日:2008年 7月 4日(金)13時49分42秒
訪問者の皆さんの書き込みでぜひこのサイトを充実させてください。
ただし発言に責任をもたない匿名記事はご遠慮願います。
このサイトはもともと<トロツキー翻訳>専用でしたが、昨今の翻訳出版界に見られる憂慮すべき事態にかんがみて、対象範囲をひろげることにしました。
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イーストマンについて
投稿者:
fm1969
投稿日:2006年 2月 4日(土)21時31分46秒
はじめまして。
岩波文庫の「ロシア革命史」の訳者後書きを読んだときにも感じたことですが、トロツキーがイーストマンの英訳を批判した箇所について、たとえ翻訳に問題があったにしろ、イーストマンがトロツキーの敵になってから書いたのでは、と思いました。そんな欠陥の多い翻訳をしたにもかかわらず「裏切られた革命」を英語に翻訳したのもイーストマンですから。
彼の「若き日のトロツキー」の序文を読む限り、彼は奥さんのエレーナ・ヴァシーリエヴナ・クルイレンコからロシア語を教わったようですが、完全にものにしていなかったのかな、とも思いました。
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